2010年6月22日火曜日

チマチマ音声。あ~めんどくせぇ~!中継編

前回は「チマチマ音声。あ~めんどくせぇ~!CM編」を書きましたが、今回は中継です。


先日、小学生のサッカー大会の決勝戦を中継してきました。
中継といても、生放送ではなく中継スタイルの収録です。中継車で収録すると言った方が正しいかも。
やることは生中継とほぼ同じ。

朝早くに出て、10時までにはセットアップしなくてはなりません。昔は前日にセッティングして簡単なリハーサルなんかもしてましたが、最近ではそんあ予算はありません。当日セッティング当日バラシが基本です。(午前3時集合なんてのもあります。うへ・・)

が、前回書いたようにワタクシは不覚にも遅刻という醜態をさらしたわけです。
毎年のことだしサッカー中継なんて慣れたもの。なので、朝起きるということが一番重要だったりして・・・・。ハァ。

現場に着くとまずやるべきことは、中継車の位置決めやモロモロありますが、まぁケーブルルートを確認して、ケーブルを這わすことが第一課題です。
今回は、カメラケーブル5本と音声のマルチケーブル2本、電源ケーブルが1本、放送席のモニター用ケーブル1本が中継車から出されます。
コレをカメラマンチーム、音声チームが協力して現場まで這わせてゆきます。カメラマンチームと協力するのはこれが最初で最後です。

ケーブルが這わされると、今度はその先にくっつくモノの準備に取り掛かります。カメラマンはカメラを組み立て、音声はマイクを組み立てます。

今回はシステムの都合上、中継車内で音声オペレートをせず会場の一室をお借りし、ミキサーを持ち込んでのオペレート。音声はそこに機材を持ち込んでセッティングを始めます。
これがまた膨大な機材の量なのです。

中継車内でのオペレートは、中継車に大体の機材モロモロが積載されてあるので、そのままケーブルを現場まで伸ばしてマイクをつなぎ込めばOKですが、現場ミックスとなるとミキサーはじめ、この機材モロモロを全て現場まで持ち込まないといけない。
まぁ大抵中継スタイルになると、現場までの機材輸送車の荷台の中身はほとんどが音声機材。いつも映像チームに「多いなぁ!」「予備持って行きすぎとちゃうか?」などとブツクサ言われます。

が、

予備機材はありません!

大きな声で言えることではないですが、ほんとに予備機材なんてほとんどない。壊れたら取りに帰るか、プラン変更するか、現場で直すかの3択。だって積めないし・・・。もう一台トラック借りて、人と時間を増やせば、予備もバッチリだろうな。そんな予算は・・・

まぁ現場までは近いし、ある機材で何とかなるようにはしてますが、ほんとに壊れたら嫌だな・・・。





カメラマングループは協力して、中継カメラを組んでケーブルを繋いでいきます。
ロケに使うカメラとは違って、巨大なので2人で協力して組みます。一台につき約5分程度でしょうか?
この日はあめが降っていたので、カッパをカメラに装着しています。
で終わりです。 この後モロモロの動作チェックします。

音声チームはというと、
オペレーターはそれぞれ自分の操作するミキサーや周辺機器を並べて、それぞれを接続してゆきます。
今回は、ノイズ(SE)ミキサーと総合ミキサーとでも2マンでもオペ。
スポーツ中継の場合マイク本数が多いので、こういう形態をとることが多いです。なんせコートが広いので、マイクもそれなりに増えるわけです。
オペレーター以外の音声担当者は、まずマイクを組み立て、コート内のマルチケーブルを這わし始めます。そしてその先に単線ケーブルで組みあがったマイクを挿してゆきます。



こんなやつとか


こんなやつです。


今回の規模は小さめで、こんなモジャモジャマイクを8本使いました。
そして、観客の声援を拾うために別のマイクを2本ほど立てます。また、サッカーにはピッチレポートといってベンチに近いところでリポートするアナウンサーがいます。時々実況に割り込んできて、選手やチームの状態をしゃべるアノ人です。その人用にもハンドマイクを用意します。今回かワイヤレスハンドを準備しました。
そして、実況アナウンサーや解説者とピッチレポーターの間で会話が成立しなければいけませんから、レポーターに実況、解説の声を聞かせてあげる必要があります。ほとんどの場合、ワイヤレスのイヤーモニターを使いますので、その準備もします。

これらは電池駆動なので、電池も適宜入れ替えます。

また、決勝戦なので試合が終わった後には表彰式が行われます。その時に使用する挨拶や司会マイクも準備しなければいけません。
会場の音響施設を使うので、その会場に選任の方がいらっしゃればお願いしますが、「機材はお貸ししますので、どうぞご勝手に」というのが普通です。音がスピーカーから出れば、中継に影響が出ない範囲で会場に聞こえるレベルに調整してゆきます。ほとんどの競技場ではこの調整卓が最上階にあるので、卓を調整する役と、ピッチでしゃべりながら音量の上下を指示する役と2人で行います。3階まで行くのがめんどうです。

まだまだあります。
試合中やリハーサル中、ディレクターをはじめ、各スタッフはインカムと呼ばれるもので会話をします。ヘッドセット式の電話のようなモンです。これで情報を伝え合い、指示を出し合い、時には冗談をいったり、怒られたりもします。

このインカムシステムを構築するのも音声の仕事です。インカムシステムのメインになる機会は中継車内にありますので、音声だけが構築しているというと弊害があるかもしれませんが、中継社内のスタッフは電源をいれて、必要に応じてヘッドセットを配るくらいのもんです。
カメラマンのインカムは、カメラに端子が付いててヘッドセットを挿せばそれで終わりです。

普通、このインカムシステムの構築を最優先する場合がほとんどですが、今回は慣れている現場なことと、中継車と音声が連絡を取り合うのは、まだまだ先であることを考えて優先順位を下げています。いつもの場所いつものスタッフなので、なにも疑問に思うことはありません。

ここまで構築したら、ようやく実況・解説席のセッティングへ向かいます。
ピッチと同じ高さの音声オペレーター席から、3階席にあるこの実況・解説席へまたまたマルチケーブルを這わせます。同時にインカムの回線もひきます。それだけで結構疲れます。

そして美術さんが用意してくれた実況・解説テーブルに機材を仕込んでいくわけです。スポーツ中継の場合は、ヘッドセットタイプのマイクを使うことがほとんどです。ピッチレポーターの声もちゃんとヘッドセットに返してあげなければいけませんので、そういう機材も準備します。

ここまで組みあがってやっとセッティングは終了します。晴れていればいいのですが、この日のように雨模様だと、さらに写真のように雨対策をしなければいけません。雨にぬれるところに在るマルチボックスやケーブル端子すべてにビニールを巻いてゆきます。あ~めんどくせぇ~。

再びピッチにもどってオペレート席が組みあがっていれば、チェックが回線チェックが始まります。
広い球戯場にセットした10数本すべてのマイクを順番にあたっていきます。音がちゃんと届いてなければ、問題点を予測して対策をします。動作していてもノイズが乗っていたりすれば対策です。

この回線チェックをしている頃には、映像チームはとっくに一通りのチェックは終了していて、ファインダーを覗いて中継車にいるスイッチャーと呼ばれる人と試合を想像しながらカメラをいじっています。中継車では収録VTRのチェックや、時計合わせなどの雑用を行っているころでしょう。
音声チームが汗だくでノイズ対策に走り回っていても、ほとんど手伝ってはくれません。なぜならチマチマ細かそうでややこしそうだから。となりで時計の修理でもしているように見えることでしょう。手伝う余地がないのも事実。

回線チェックが無事終われば、セットアップ完了!ここまでの作業をオペレーター2人を含めて4人でやります。オペレーターは各種調整ごとが多いので、外回りはほとんど2人でセットするわけです。広~イ競技場に

映像チームは、カメラマン以外にビデオエンジニア、カメラアシスタントと今回では合計8人です。
映像はカメラ5台と、スローVTR1台、合計6系統のどれかを常にスイッチャーが選択して記録するわけです。方や音声は20本近くのマイクをセレクトして記録します。

想像してみてください。20カメ中継を。

いわば音声は20カメ中継(今回の場合ね)みたいなもんです。
なのに、少人数。手伝いなし。あ~めんどくせぇ~。せめてもう一人増やしてくれんかね。

カメラマンの、そしてデスクの「手伝ってやるから」を信じるな!世の中そんなに甘くねぇ~。

この日の歩数、役18500歩。距離にして15Kmだそうな・・。




(追記)
ワールドカップなんて想像もしたくないほどのマイクを使っています。(レフリーにもヘッドセット付けてますね)

の割りに、
ブブゼラがうるさすぎてほとんど意味をなしていないのが、また音声の悲しさなのです。
最初の頃より抑えられているので、血のにじむような努力をしているのでしょう。その努力を賞賛しますよワールドカップ音声チームのみなさん!!
めんどくささと評価されない努力によって、音はテレビから出ている。
たぶん音声マンはMが多いね。きっと。

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