それは、船の中で演奏しているあの楽団の音なんです。
バイオリンの音が凄い!
バイオリン自体の音というのではなくて、録音がすごいという意味です。まぁ、楽器自体もたぶん良いものでしょうけど。
バイオリンってクラシックのイメージが強いですが、実は結構いろいろなジャンルの音楽に使われています。あまり意識していないですが、実はわりと耳なじみのある音なんです。
で、非常に個人的な意見なんですが、バイオリンがバイオリンらしく録音された物って少ないような気がするんです。
そういう言い方だと弊害があるのかな、、?
簡単に言えばバイオリンって生で聞くとイメージしてたよりマイルドな音なんです。ボディー自体が鳴っているのが良く分かります。(僕がそう思っているだけかもしれないので、違うよって思う人は聞き流してくださいね。)
生音を真近で聞くまでは、僕の中でバイオリンのイメージは結構ヒステリックな音だったりしました。鋭い高音でなんというか切れ味がいい感じです。
どんな楽器も、もちろん人の声もですが、あらゆる音は録音されると絶対に生音とは違う音になります。(あたりまえですが、、)
音の波をマイクなどで一旦電気信号に変えて、アンプなどをあらゆる電気回路を通って再びスピーカーで音の波に変えられるんですから、もちろん本物とは違うものになります。
それをどう本物っぽく聞かせるかというのが、ミキサーなどエンジニアの仕事だと思っています。
バイオリンって音を録るだけなら、そんなに難しい楽器ではないと思うんです。音はそこそこ大きいし。ではなぜ生音とイメージする音が違うんでしょう?
たぶん、収録の方法によるものなんだと勝手に想像したりしてます。
概ねクラシックの録音というと、比較的オフマイク(マイクを楽器から離して収録すること)が多いんです。オーケストラなんかだと会場の天井からマイクを吊り下げて録音したりします。
音は高い音ほど遠くまで飛んで行き、低い音ほど遠くまで飛ばない性質を持っています。
なのでオフマイクだとどうしても高い音が多く収録されてしまいます。マイク自体も近接効果といって近い音ほど太く、離れるほど音が細くなります。カラオケなどでマイクを口に付ける勢い(オンマイク)で歌うと太い声になり、マイクから口を離して(オフマイク)歌うと細い声になるのがその現象です。
つまり、多くのバイオリン収録のものはオフマイクのものが多いんではないでか?もちろんオフマイクがダメだとは思っていません。オフマイクだとその空間の響きも拾うので臨場感のある音が録れるという利点があります。逆にオンマイクだと全体にベタっとした平面的な音になりがちです。
クラシックなんかは、録音が全てです。ロックやポップスのように録音したあとからエコーなどの加工はほとんどしません。なので、オーケストラなどは響きの良いホールで一発録りだと思います。そうするとやはりオフマイクがいいと思います。
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なんか話がややこしくなってきた。
結論をいうと、生で聞くとマイルドに聞こえるのは、胴鳴り(箱鳴り)も一緒に聞こえてくるせいだと思うんです。
バイオリンは弦楽器で、弓で振動させた弦の音をボディーで共鳴させて増幅しています。このボディの鳴りというのがなんとも木の響きで心地よい。他の弦楽器も一様にそうだと思います。
タイタニックに登場した楽団の音が、この箱鳴りをかなり再現されていてびっくりした。生音っぽく聞こえます。テレビで聞いてても箱鳴りが聞こえてくるのは、録音した人やエンジニアの腕なんでしょうね。いやぁ、凄い。
クラシック系の演奏家の方は、なんとなくオンマイクを嫌う傾向にあると思いますが、どうせマイクを通すと生音とは違う音になるんです。要は収録の形が大事じゃなくて、どう生音っぽくうまく聞かせるか(耳をだませるか)だと思うんです。ボディーの箱なりを拾うにはオンマイクが必要だと思うのは僕だけなんでしょうか、、、?もちろん響きや弦の鳴りを拾うオフマイクも同時に必要です。
タイタニックをこんな風に見た人ってそんなに居ないんだろうな、、、。
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